俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
「果穂ちゃん、大変だったね。
でも、今日中に見つけ出せて良かったよ。」
雅也さんがそう言って果穂に笑いかける。

「ご心配をお掛けしてすいませんでした。」
頭を下げてお詫びをする。

「無事で良かったよ。果穂ちゃんに何があったうちの社長が気でも狂っちゃいそうだから…。」

「おい!果穂に馴れ馴れしいんだよ。」

「ほら、果穂ちゃんの事になると直ぐムキになるからさぁ。」

「ちゃん付けで呼ぶな。果穂に近付くな。」
不貞腐れた様に言う翔が今夜はなんだか年下に見えるから不思議だなと思い、
微笑みながら2人の戯れ合いを眺めていた。

「社長、警察の方来られました。」

ロビーまで警察を出迎えに行った新田は、
7、8人の警察と共に戻ってきた。

「後で詳しく話を聞きます。」
 
そう言って、2人を連行し連れて行き残りの警察官は現場検証の為、着実に淡々と仕事をこなしていく。

この場は弁護士が仕切り今での一部始終を話して聞かせる。

その間、果穂の隣に翔が座り彼女の手を取り心配そうに見つめる。

弁護士の交渉で詳しい事情聴取は後日となり、果穂達は解放された。

翔は待機の為に取った部屋の鍵を、新田に渡し好きに使えと伝えて果穂と雅也と共に部屋を出る。

「雅也、急に巻き込んで悪かったな。
お前のおかげで、果穂を早く見つけ出せた。恩にきる。」

「お前の一大事に役に立てて良かったよ。
果穂ちゃん、きっとしばらく翔の束縛度合いが上がって大変だと思うけど、許してやってね。じゃあ、俺は帰るからまたね。」

「遅い時間まで、いろいろありがとうございました。」
果穂は深く頭を下げる。

雅也が帰り際に、ポンポンと果穂の頭を撫でて帰って行った。

「気安く果穂に触るなっ。」

そう言って翔は毒を吐き、
消毒という様に果穂の髪を優しく撫でて車に乗せてくれた。
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