俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
大都会から(翔と言う男)
その頃、大都会東京、
pertica cafe (ペルシュ カフェ)の本社では問題が発生していた。
コツコツと足音を響かせ、三巴の高そうなスーツに身を包む男が、会議室に向かって足速に歩いて来る。
仕事をしていた事務員も、電話対応をしていた営業マンも、つい手を止めて振り返る。
引き締まった薄い唇、すっと通った鼻筋に鋭く光る瞳はアーモンド型、モデルの様なルックスでどこにいても注目を集めてしまう。
男女問わず誰もが羨望の眼差しで彼を見つめる。
そんな完璧な男の目下の野望はこのpertica cafe を全国展開しその先には海外までも視野に入れ、果てしない夢を抱いている。
こんな所で足踏みしてる場合では無いと、思い悩むその男、
pertica cafe 代表取締役社長
堀井翔(ホリイ カケル)29歳。
「遅くなってすまない。会議を始めよう。」
よく通るバリトンボイスで会議室に入って行った。
「社長が来ないからもう帰ろうかと思ったよー。」
ちょっと明るめの茶髪、笑顔がかわいいと評判の癒し系男子は、
副社長の高橋雅也(タカハシ マサヤ)
怖いもの知れずで、社長に向かってなかなかの言いようだ。
その前には銀縁メガネの、いつも穏やかな商品開発部部長、
向田優斗(ムコウダ ユウト)
が座っている。
彼らは大学時代からの仲間で翔の誘いを受け、一緒にこの会社を起業した。
そして、
今年7年目に入りついに売り上げが伸び悩む…
「もう、流行りを追うのは限界があるんじゃ無いかなぁ。」
副社長の雅也は翔にそう言い放つ。