俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する

みかん畑から(果穂の日常)

今朝は採れたてのみかんを道の駅や直売所に並べる為、軽トラに乗って各店舗に品出しをしている。

トゥルル トゥルル…
運転中に携帯がなってハンズフリーで電話に出る。

「もしもし、お兄ちゃんどうしたの?」

『果穂、今どこに居る?』

「農協出た所だけど?」

『なんか、パーキングエリアのイベントの直売所のみかんが売り切れそうだって。悪いけど先にそっち持っていけるか?』

「分かった。道の駅分をそっちに回せばいい?」
みかん箱の個数を頭で計算しながらそう言うと、

『じゃあ、俺が道の駅分届けに行って来るから、そっちよろしく!運転気を付けて。あと変な男に気を付けろよ。』

「私なんかに声かけて来る人なんていないよ。」
過保護な兄はそう言って私の事を何かと心配する。

『お前は全然分かってない。男なんて若けりゃ誰でもいいんだよ。田舎の小娘なんていいターゲットだぞ。声かけられても走って逃げろよ。』

「みかん箱持ってバタバタしてる私なんかに声かけて来る人はいないよ。
心配症だなぁ。じゃあね、忙しいから切るよ。」 
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