俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
スマートインターから高速道路のパーキングエリアに入ると、さすがに土曜と言う事もあり沢山の車と人でごった返していた。

のどかな田舎の山道からこのパーキングエリアは繋がっている。
突然別世界に来たかの様な錯覚を持ってしまう。

芝生のエリアにテントを出してイベントはやっている様だった。

私も出店すれば良かったなぁ、
収穫時期だから忙しいと思って辞めたんだけど、この賑わいを見てしまうとワクワク感に心が躍る。

「こんにちは。
間宮ファームです。みかんの追加発注ありがとうございます。」

『まごころファーム』と言う名で野菜と果物の直売店を開いている、中山さんは自らも無農薬で野菜を育てている農家さんだ。

「果穂ちゃん、ありがとう!思ってたより早く来てくれたねー。好評でさぁ、開始1時間で30袋売れちゃって残り3袋だったから助かるよ!」

「すごい賑わいですね。
Sサイズ1キロの袋入が30袋と、Mサイズが20袋ありますけど足りますか?」

「3時までだから何とか持つはず。明日の発注も後、50袋追加出来る?サイズは任せるから。」

「はい。ありがとうございます。
今日も収穫しているので大丈夫ですよ。」
にこりと笑って言う。

「果穂ちゃんもお店出せば良かったのに、
その笑顔でお客さん倍集まるよきっと。」
また大袈裟な事を、と思いながらも笑顔で対応する。

「お世辞でも嬉しいです。本当にお店出せば良かったです。」

「本当⁉︎
じゃあさ。うちの半分場所あげるから明日出店すれば?主催者に聞いて来ようか?」

「明日ですか⁉︎
うーん、嬉しいですけど…来週は参加したいなと思いますけど。」

「そっか…、そうだよねー。
じゃあ、来週うちの横に是非出店してよ。
相乗効果できっとみかん今日以上に売れるから。」

「そうですね。後で主催者さんに声かけみます。」
うんうんと頷き中山さんも嬉しそうだ。
「俺も果穂ちゃんの笑顔に癒されたいから、是非隣りでよろしく。」

中山さんは40代独身者、明るくて楽しい人だけどバツイチだ。
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