俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
「果穂!!」
呼び止められて、ドキンと心臓が跳ねる。

恐る恐る振り返ると、

「……翔さん……。」
私に気付いてわざわざ追って来てくれたんだ。
ダメ、涙が出ちゃう。

「どうした?何で、逃げるんだ⁉︎」
そう言って近付いてくる。

「ダメです靴が汚れちゃう!
それ以上近付かないで下さい。 
私、仕事終わりで汚れてますし……翔さんが汚れちゃう…。」

そう言って歩みを制する。
だけど翔さんはツカツカと私に向かって歩いて来る。

「果穂、俺から逃げるな。」
そう言って、手首を掴かまれ引っ張られ、気付けば翔さんの腕の中。

「か、翔さん…スーツが汚れちゃいます。離して。」

「嫌だ。汚れても構わない。
久しぶりに会えたのに、何んで逃げる?
理由を聞くまで離さない。」
ぎゅっと抱きしめられ身動きも取れない。

「俺は果穂に会いたくて、その一心でこの1ヶ月がむしゃらに働いたんだ。何で離れて行こうとする?」
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