第3章めざせ転移門!★城下編。恋愛異世界令嬢は成り上がる!
言質を取るマイケル
「なるほど、よく調べられましたね。ウーリュウ藩島でも聖職者でない限り気にもされないことでしょう。 確かにワーフ・エリベス様の像は地下で皆繋がってございます。 」
ドゥシエラの言葉に、聞きたい事は他にもあるが、まずはマイケルは確認の為に口を開く。
「それは藩島の結界を維持するために作られた導線と考えてよろしいのですよね? 」
穏やかな表情のままドゥシュルラはマイケルを見ると、ステンドグラスの光で彩られたワーフ・エリベス像を眩しそうに見上げながら答える。
「はい、そうですね。我々神の下僕は日々ワーフ・エリベス様の像に向かって祈りを捧げますが、その際、魔力を注ぎ結界の維持をしてございます。」
ドゥシュルラの言葉に、それまで静かに動向を見守っていたハーバナが驚きの声をあげた。
「本当ですか?!毎日?!初めて知りました。それは藩島中のワーフ・エリベス像に、 どこからかの祈りで繋げるということですか?」
城技工師のハーバナとしては、藩島にある構造物の知識は殆ど持ち得ている自信があったに違いない。
そんなハーバナが驚く程、ワーフ・エリベス像の地下導線は知られていない事実なのだと改めてマイケルは頷いた。
しかしマイケルもハーバナと共に驚いたのは事実。聖職者の自主的行動とはいえ、毎日自分の魔力を捧げるのだ。
(一体どれだけの人数で日々魔力譲渡をさて、結界を維持しているのだろう、、)
ドゥシュルラはマイケルとハーバナを見ると、ラジにも視線を送りながら、目の前の像を示す。
「その通りでございますね。要所要所で意味を持つ聖地はございますが、此のウーリュウ・エリベス・カテドラルのワーフエリベス様に祈ることで藩島を包む結界を維持することができるのです。 」
ドゥシエラの言葉から、マイケルの脳裏に浮かぶのは、ルークが連れてくれた海底ダンジョンでの光景。
あの頃は、他国から連れてこられた奴隷が強制的に魔力付加をさせられていた。
「それは、祈りが地下の道を通ってエネルギーとなり、ワーフ・エリベス様の何らかの加護を持って増幅するという感じでしょうか? 」
マイケルは続けてドゥシエラに問う。
(今思えば、あの光景はヤオ達をはじめとする奴隷達の問題だけではなくて、、)
「詳しくはワーフ・エリベス様の心の中にございますので、私たちは粛々と成すべきことを成す、そのような日々でございます。 」
祈りを捧げる聖職者、、ひいてはルーク達王族の宿命をも暗示していたのではないだろうかと、マイケルは考え付いた。
だから城下街にあるビブリオテーカの奥にある閉鎖書庫にしか、その事実は記録されていなかったのではないかと。
(カフカス王領国の関所、ウーリュウ藩島の使命という名の宿命的な、、搾取の歴史、、)
「それで、この度は我々の祈りについて何か疑問がおありでしょうか? 」
マイケルの思考を知っているかに、ドゥシエラの白瞳がマイケルに微笑む。ステンドグラスからの光を逆光に、マイケルには、その顔が神々しく光って見えた。
(日々、身を投ず行を成している、本当の意味での聖職者なんだ。それは、、ルークも同じという事だね。)
考え込むマイケルの代わりに、ラジがマイケルの方を頷いて見ながらもドゥシエラに提案の口火を切った。
「 実はその地下でつながる偉大なるワーフ・エリベス像の道を、試しに貸していただきたい。 」
「ワーフ・エリベス様の祈りの道をですか? 」
以外な申し出だったのだろうか、ドゥシエラはラジの台詞に白瞳の目を丸くさせる。
「あー、そのために城技工師ハーバナーも連れてきた。 ワーフ・エリベス像の祈りの道は大切な結界の道だと最近認識したわけではあるが、我々はその道に新たなるエネルギーを通すことができないかとみているのだ。」
ラジが腕を組みながら、マイケルの構想を代弁する。その隣で、ハーバナが同意の頷きをした。
『※※^.*トゥララアーーーーーン
トゥララアーーーーーン
トゥララアーーーーーン※^.*』
ドゥシエラに提案の口火を切ったと同時に、エリベス・カテドラルの大鐘が時を知らせる音色を響かせた。
まるで、革新の暁鐘と云わんばかりに。
この鐘を合図に今日のエックレーシアは一旦終了となり、藩島城での宴の準備が成される。
其れはウーリュウ藩島の主、テュルク王弟将軍主催の夜会となるのだろうと、マイケルが鐘の方を一瞥した。
「、、 新しいエネルギーでございますか?具体的にどの様な物でございましょう?」
ドゥシエラも一瞬、鐘の方に眼差しを向けながらも、今度はハーバナを見る。ハーバナは、両手を使ってドゥシエラに説明を始めた。
「生活に密着した魔力エネルギーの道を、其のワーフ・エリベス像の道に共有させたいのです。明かりと、飲み水が主流です。それが今現在、ドゥシエラ殿、聖職者の皆がされる祈りと相反しないか、そして今後に影響が出ないかといったことを一度調べさせて頂きたいのです。」
ハーバナの話を聞いてドゥシュルラ1度言葉を咀嚼する様に、静かに目を閉じる。 そして再び、目の前にいる一人一人に眼差しを向けた。
「なるほど、ラジ殿が今日この場に、これだけの人を連れてこられた意味が分かりました。 確かに城技工師のハーバナーと、ツッチーナシュウ地区の長殿もいらっしゃるわけですね。 」
ツッチーナシュウ地区にはウーリュウ藩島最大のワーフ・エリベス像が存在し、年に1度カテドラルから聖職者が秘匿された儀式の為に派遣されている。
内容は他言無用だが、ツッチーナシュウ地区の長と世話人は儀式に同行するとマイケルは聞ている。
「ツッチーナシュウの長、シンパク殿はどのようにお考えでしょうか? 」
だからこそドゥシエラはツッチーナシュウの長に改めて『問い』を投げ掛けたのだ。
ツッチーナシュウ地区の長は、その名を代々成人時になると襲名する。其の伝統を見ても、ウーリュウの中でも一段と排他的な土地柄なのだと解る。
「実はラジ殿やマイケルのから話を聞いた時、わしは驚いた。 聖なる祈りの道に我々の日常的な何らかの魔力を共存させて通すなぞ不敬じゃないかと。しかし今現在、我々ツッチーナシュウ地区も他の海岸沿いに位置する集落と同様。あらゆる日々の物が不足しているのも事実。」
シンパクが話始めた頃、外の賑わいが一層大きくカテドラルに届いてきた。ホールの人々が、外へと出て来たのだろう。
シンパクは外の笑い声などに心を寄せるような表情を浮かべると、
「新しい力の恩恵にあやかりたいと総意した次第ですじゃ。 今日、エックレーシアに参加をして、より思う。」
膝の上に手を握り締めて、しっかりとドゥシエラに伝えた。
「今から新たに魔力のエネルギー道を作るのは到底難しい。話を聞けば既存にある祈りの道を、互いに影響し合うことなく使えるのならば新しい活路が見出せると、マイケルからも聞いておりますじゃ。ならば出来れば我等のツッチーナシュウ地区で試しをやってみたいと思う。」
「なるほど、ワーフ・エリベス様の中でも島で一番大きな像を抱える貴方の地区で試しをされるということですか。 」
ドゥシエラとシンパクの間に、一際特別な空気が流れる。
(ツッチーナシュウ地区での儀式は、一体何なのだろう?)
ツッチーナシュウにある巨大なワーフ・エリベス像の中に入った事があるマイケルは、ある仮説を立てていた。けれども其れを他言したことは無い。
もしかすれば、この『新しい魔力の道』を実行した時に、シンパクに聞く事が出来るかもしれないと、思いつつ、2人の様子を静観していた。
するとラジが腕を組みながら、ドゥシエラに言葉を改めてかける。
「すぐに返事ができないのは十分に解っている。 試しをする際には、実際にドゥシエラ殿達聖職方が祈りの道を開かれる時同じく、我々の日常魔力エネルギー道の試しをしたい。それ故、ツッチーナシュウ地区まで足を運んで頂かねばならないだろう。 」
ラジの言葉に、ドゥシエラが穏やかに頷くのをマイケルは確認する。
「勿論、どなたか派遣して頂くいう形で全く結構なのだ。 」
「、、解りました。其の試しを許可しましょう。」
カフカス王領国に於ける、次代聖職権威者・パパ・ドゥシエラから、マイケル達が言質を取った瞬間だった。
ドゥシエラの言葉に、聞きたい事は他にもあるが、まずはマイケルは確認の為に口を開く。
「それは藩島の結界を維持するために作られた導線と考えてよろしいのですよね? 」
穏やかな表情のままドゥシュルラはマイケルを見ると、ステンドグラスの光で彩られたワーフ・エリベス像を眩しそうに見上げながら答える。
「はい、そうですね。我々神の下僕は日々ワーフ・エリベス様の像に向かって祈りを捧げますが、その際、魔力を注ぎ結界の維持をしてございます。」
ドゥシュルラの言葉に、それまで静かに動向を見守っていたハーバナが驚きの声をあげた。
「本当ですか?!毎日?!初めて知りました。それは藩島中のワーフ・エリベス像に、 どこからかの祈りで繋げるということですか?」
城技工師のハーバナとしては、藩島にある構造物の知識は殆ど持ち得ている自信があったに違いない。
そんなハーバナが驚く程、ワーフ・エリベス像の地下導線は知られていない事実なのだと改めてマイケルは頷いた。
しかしマイケルもハーバナと共に驚いたのは事実。聖職者の自主的行動とはいえ、毎日自分の魔力を捧げるのだ。
(一体どれだけの人数で日々魔力譲渡をさて、結界を維持しているのだろう、、)
ドゥシュルラはマイケルとハーバナを見ると、ラジにも視線を送りながら、目の前の像を示す。
「その通りでございますね。要所要所で意味を持つ聖地はございますが、此のウーリュウ・エリベス・カテドラルのワーフエリベス様に祈ることで藩島を包む結界を維持することができるのです。 」
ドゥシエラの言葉から、マイケルの脳裏に浮かぶのは、ルークが連れてくれた海底ダンジョンでの光景。
あの頃は、他国から連れてこられた奴隷が強制的に魔力付加をさせられていた。
「それは、祈りが地下の道を通ってエネルギーとなり、ワーフ・エリベス様の何らかの加護を持って増幅するという感じでしょうか? 」
マイケルは続けてドゥシエラに問う。
(今思えば、あの光景はヤオ達をはじめとする奴隷達の問題だけではなくて、、)
「詳しくはワーフ・エリベス様の心の中にございますので、私たちは粛々と成すべきことを成す、そのような日々でございます。 」
祈りを捧げる聖職者、、ひいてはルーク達王族の宿命をも暗示していたのではないだろうかと、マイケルは考え付いた。
だから城下街にあるビブリオテーカの奥にある閉鎖書庫にしか、その事実は記録されていなかったのではないかと。
(カフカス王領国の関所、ウーリュウ藩島の使命という名の宿命的な、、搾取の歴史、、)
「それで、この度は我々の祈りについて何か疑問がおありでしょうか? 」
マイケルの思考を知っているかに、ドゥシエラの白瞳がマイケルに微笑む。ステンドグラスからの光を逆光に、マイケルには、その顔が神々しく光って見えた。
(日々、身を投ず行を成している、本当の意味での聖職者なんだ。それは、、ルークも同じという事だね。)
考え込むマイケルの代わりに、ラジがマイケルの方を頷いて見ながらもドゥシエラに提案の口火を切った。
「 実はその地下でつながる偉大なるワーフ・エリベス像の道を、試しに貸していただきたい。 」
「ワーフ・エリベス様の祈りの道をですか? 」
以外な申し出だったのだろうか、ドゥシエラはラジの台詞に白瞳の目を丸くさせる。
「あー、そのために城技工師ハーバナーも連れてきた。 ワーフ・エリベス像の祈りの道は大切な結界の道だと最近認識したわけではあるが、我々はその道に新たなるエネルギーを通すことができないかとみているのだ。」
ラジが腕を組みながら、マイケルの構想を代弁する。その隣で、ハーバナが同意の頷きをした。
『※※^.*トゥララアーーーーーン
トゥララアーーーーーン
トゥララアーーーーーン※^.*』
ドゥシエラに提案の口火を切ったと同時に、エリベス・カテドラルの大鐘が時を知らせる音色を響かせた。
まるで、革新の暁鐘と云わんばかりに。
この鐘を合図に今日のエックレーシアは一旦終了となり、藩島城での宴の準備が成される。
其れはウーリュウ藩島の主、テュルク王弟将軍主催の夜会となるのだろうと、マイケルが鐘の方を一瞥した。
「、、 新しいエネルギーでございますか?具体的にどの様な物でございましょう?」
ドゥシエラも一瞬、鐘の方に眼差しを向けながらも、今度はハーバナを見る。ハーバナは、両手を使ってドゥシエラに説明を始めた。
「生活に密着した魔力エネルギーの道を、其のワーフ・エリベス像の道に共有させたいのです。明かりと、飲み水が主流です。それが今現在、ドゥシエラ殿、聖職者の皆がされる祈りと相反しないか、そして今後に影響が出ないかといったことを一度調べさせて頂きたいのです。」
ハーバナの話を聞いてドゥシュルラ1度言葉を咀嚼する様に、静かに目を閉じる。 そして再び、目の前にいる一人一人に眼差しを向けた。
「なるほど、ラジ殿が今日この場に、これだけの人を連れてこられた意味が分かりました。 確かに城技工師のハーバナーと、ツッチーナシュウ地区の長殿もいらっしゃるわけですね。 」
ツッチーナシュウ地区にはウーリュウ藩島最大のワーフ・エリベス像が存在し、年に1度カテドラルから聖職者が秘匿された儀式の為に派遣されている。
内容は他言無用だが、ツッチーナシュウ地区の長と世話人は儀式に同行するとマイケルは聞ている。
「ツッチーナシュウの長、シンパク殿はどのようにお考えでしょうか? 」
だからこそドゥシエラはツッチーナシュウの長に改めて『問い』を投げ掛けたのだ。
ツッチーナシュウ地区の長は、その名を代々成人時になると襲名する。其の伝統を見ても、ウーリュウの中でも一段と排他的な土地柄なのだと解る。
「実はラジ殿やマイケルのから話を聞いた時、わしは驚いた。 聖なる祈りの道に我々の日常的な何らかの魔力を共存させて通すなぞ不敬じゃないかと。しかし今現在、我々ツッチーナシュウ地区も他の海岸沿いに位置する集落と同様。あらゆる日々の物が不足しているのも事実。」
シンパクが話始めた頃、外の賑わいが一層大きくカテドラルに届いてきた。ホールの人々が、外へと出て来たのだろう。
シンパクは外の笑い声などに心を寄せるような表情を浮かべると、
「新しい力の恩恵にあやかりたいと総意した次第ですじゃ。 今日、エックレーシアに参加をして、より思う。」
膝の上に手を握り締めて、しっかりとドゥシエラに伝えた。
「今から新たに魔力のエネルギー道を作るのは到底難しい。話を聞けば既存にある祈りの道を、互いに影響し合うことなく使えるのならば新しい活路が見出せると、マイケルからも聞いておりますじゃ。ならば出来れば我等のツッチーナシュウ地区で試しをやってみたいと思う。」
「なるほど、ワーフ・エリベス様の中でも島で一番大きな像を抱える貴方の地区で試しをされるということですか。 」
ドゥシエラとシンパクの間に、一際特別な空気が流れる。
(ツッチーナシュウ地区での儀式は、一体何なのだろう?)
ツッチーナシュウにある巨大なワーフ・エリベス像の中に入った事があるマイケルは、ある仮説を立てていた。けれども其れを他言したことは無い。
もしかすれば、この『新しい魔力の道』を実行した時に、シンパクに聞く事が出来るかもしれないと、思いつつ、2人の様子を静観していた。
するとラジが腕を組みながら、ドゥシエラに言葉を改めてかける。
「すぐに返事ができないのは十分に解っている。 試しをする際には、実際にドゥシエラ殿達聖職方が祈りの道を開かれる時同じく、我々の日常魔力エネルギー道の試しをしたい。それ故、ツッチーナシュウ地区まで足を運んで頂かねばならないだろう。 」
ラジの言葉に、ドゥシエラが穏やかに頷くのをマイケルは確認する。
「勿論、どなたか派遣して頂くいう形で全く結構なのだ。 」
「、、解りました。其の試しを許可しましょう。」
カフカス王領国に於ける、次代聖職権威者・パパ・ドゥシエラから、マイケル達が言質を取った瞬間だった。