花風㊦
「そうね。過去の資料も閉じられてるけど、どれも同じに見えるわ・・・」
「玉城はどうだ」
急な問い掛けに慌てて応える。
「はい。私も豆田さんと意見は同じですが、簡素でも何処か目を惹かれます」
「他に意見は在るか、無ければ次回まで案を纏めて来て欲しい」
何故か窘められた気がした。
「了解、俺は過去の生地を調べて置く」
「私も無難なパターンを幾つか試して見るわ」
「では、会議を終える。玉城、後片付けを頼む」
「承知致しました・・・」
持ち合わせた行動に各自が室内から去って行く。
軽く吐いて掃除用具を手に後部の座席から拭いていた。
「戸田さん、連絡先を教えて貰えませんか。色々と相談したいので」
ふと聞こえた女性の声に思わず耳を傾ける。
静かに溜息を吐き出す音もしていた。
「悪いが、持ち合わせて居ない。話が在るなら今聞く」
「分かりました。でも、他の人に聞かれると良い気はしないです」
上司の制止も無視した様子が伺える。