花風㊦
内容的には個人の事が含まれ、一部分を漸く理解して居た。
「それは俺の務めでは無い、上の者か同僚に申し出た方が適切だ。そろそろ会議室も締める、部署に戻った方が良い」
「済みません、これから企画の指導や指摘を受けて学びます」
余計な事に気を向けて恥かしさを覚える。
けれど、本音では胸を撫でていた。
狭い空間へ自然に乗り込み、上司の隣に着いて表示を眺める。
「これから取引に出るが、午後までには戻って来る。それまで部署を頼む」
「承知致しました・・・」
仕事の会話が今までより重く感じた。
「どうした、具合でも悪いのか」
「いえ、大丈夫です」
平然を装うも気のせいでは無い。
「そうか・・・確か、まだ雑誌が売られているはずだ。ついでに購入して来る」
「・・・有難う御座います」
先程から常に視線を向けられている。
「何か在れば直ぐに連絡を頼む」
「承知しました・・・失礼致します・・・」
降りる時や部署まで進む合間も捉えられていた。