花風㊦

吐き出した物がデスクの上に広がる。
綺麗に見えても僅かな埃が散っていた。

呼吸を整えて珈琲を飲み込み、企画書を手に読み耽る。
会議で出された意見を元に過去の資料を眺めていた。

何か手掛かりが在るはずだと目を凝らしても見当が付かない。
写真では素材の感触や機能も分からず、詳細に記された質感を想像に浮かべていた。

「暇そうで良いね、私も欲しいな・・・」

飽きれた声と共に紙が突き出される。

「あの・・・何か御用でしょうか」

「これ、デザイン。出来たから持って来たんだけど」

強引な仕草に腰も上げられず応えた。

「・・・いえ、私は預かる事が出来ません・・・」

「どうして?先でも後でも同じでしょ」

急かす態度が手持ちにも出ている。

「・・・済みませんが、次回の会議に御持ち下さい・・・」

「確か補佐って聞いたけど、何も任されてないんだ・・・」

明らかな面持ちに気が沈むも前を向いて応えた。

「・・・提出書類の受け取りは私の職務に当たりません。再度申しますが、次回の会議まで御待ち下さい」
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