花風㊦

「そうなんだ、余り期待もされて無いんだね。本社に来て何年目?」

何気ない中には嫌味が含まれて聞こえる。

「・・・業務以外の私語は慎めと申し付けられてます」

「私語じゃなくて単なる質問。区別が付かないと困ると思うな・・・私には関係ないけど」

ふと冷淡な言葉が脳裏に沸いていた。

『君は融通が利かない人だね』

状況は似ていても上手く隠してる。

「それでしたら応える必要も有りません」

恐らく勘違いでは無い。

「義務では無いけど、多少の対話が出来ないと企画は無理じゃない?」

相手は交わしながら此方の様子を伺っている。

「今まで手を抜いた事は有りません、対話も心掛けています」

隙など一切与えて来ない。

「ひとつの質問に答えられなくて説得力あると思う?」

「・・・先程から応えられないと申してます」

強気に出て見ても相手は引かない。

「じゃぁ、質問を変えるけど戸田さんと組むのは初めて?」

既に企画は動き始めている。
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