今日もキミの隣で恋をする
「ん〜っ」
「ねーねっ」
低音の甘い声が、私の名前を囁き鼓膜をくすぐる。
「なぁ、さっき俺と約束しただろ? 5分経ったら起きるって。俺、約束を守れない子は嫌いだなぁ」
耳元で、拓斗が言ってくる。
「今音寧が起きてくれないと、学校にも遅刻するし。もし音寧が約束を破るなら、俺も今日ふたりで行くって約束してたカフェ、一緒に行かないよー?」
えっ! 新しくオープンしたカフェ、今日拓斗と行くのめちゃくちゃ楽しみにしてたのに。
それが行けないだなんて、そんなの絶対に嫌だ。
──パチッ。
わたしはようやく、重たい瞼を上にあげた。
「おっ、音寧。やっと起きた」
目の前にはわたしを覗き込むように見る、大好きな拓斗の整った顔が。
「ちゃんと起きて偉いね、音寧ちゃん」
拓斗に優しく髪を梳くように撫でられる。
そしてしばらくして拓斗が、わたしのほうへと顔を近づけてきた。
「おはよ、音寧」
「おはよう、拓斗」
──チュッ。
小さなリップ音を立て、わたしたちは軽くキスをした。
「音寧ちゃんは、寝起きの顔も可愛いね」
「やだ、拓斗。恥ずかしいからあまり見ないで」
「え〜、もっとよく見せてよ」
拓斗がわたしの頬を両手で挟み、お互いのおでこをこつんと合わせる。