キミの言葉で、人生に光が灯りました。
カレンダーを見ていると、もうすぐ体育祭だということがわかる。
『お母さーん!』
これは、わたしが小学3年生の時のことだった。
幼稚園の頃から、お母さんはイベントに来れないことが多く、この日は珍しく来てくれていたのだ。
それがあまりに嬉しくて、お母さんの姿を見つけてはわたしは駆け出した。
『ねえ聞いて! 花、かけっこ1位だったの! 見てくれた?』
『花、ごめんね。お兄ちゃんのことで、お母さん今来たところなの』
『そうなんだぁ……』
『でも花、頑張ったわね』
それでも近くで感じられる、お母さんの匂いが嬉しかった。
『よく走ってたな、すごいな!』
わたしとお母さんのそばで、違うクラスの女の子とお父さんが横切った。
『でもパパ、わたし2位だったわよ?』
『2位でもすごいぞー! 頑張って走ってたの、ビデオ撮ったんだからな!』
『えー! はやく見たい見たーい!』
『運動会終わったら、パパとママと、みんなで一緒に見よう! ママがお弁当作って待っててくれてるぞ。さあ行こう!』
その子とお父さんは、仲良さそうにお母さんが座っているレジャーシートの方へ駆けて行った。