キミの言葉で、人生に光が灯りました。

いろいろな家庭を見るたびに、わたしの羨ましく思う気持ちはどんどん強くなった。


明るく自然に笑えて、お父さんもお母さんもよく見ててくれて、兄弟と一緒に話したりだとか、喧嘩したりだとか、追いかけっこしたりだとか。


そういったことを、当たり前のように楽しむみんなが羨ましかった。


次第にわたしは、自分をよく見てもらいたいという気持ちから、そのためだけに動くようになってしまった。



『先生、気分が悪いです』



小学5年生の頃には、別に体調に異常はないのに嘘をついたり……。



『最近できたばかりのカフェ、行ったー?』



『あぁ、行った行った! あそこのレアチーズケーキすっごく美味しかったー!』



『レアチーズケーキかぁ、あたしはカスタードタルトが好きだから、そればっかり食べてるー』



といった、同じクラスだけどあまり親しくない女の子達の会話には、



『それって、駅前の!? わたしも行ったよ! わたし、あそこのいちごタルトがすごく美味しいなって思ったんだー』



と、無理やり入り込んだりもした。



『へ、へぇー。そうなんだ』



と白けられてしまったけれど……。




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