キミの言葉で、人生に光が灯りました。
体育祭、本番の日。
優衣は、わたしが持ってきたヘアゴムで二つのお団子ヘアに、きっちりと結んでくれたおかげで、どんなに走っても崩れることはなかった。
「おーい、花!」
遠くで、お父さんが手を振ってくれている。
「あっ、お父さん」
「母さん、仕事休めないみたいで、今日は父さんだけなんだ。さあ、とりあえず飯にしよう」
わたしは、お父さんが用意してくれたレジャーシートの上に座り込む。
やっぱり、お母さんは来なかったんだ。
まあ、期待なんかしてないんだけど。
別に、いいか。
お父さんがいるもん。
今更、お母さんがなかなか見てくれないことに文句を言っても仕方がない。
「ほら、母さんが弁当作ってくれたぞ」
……そうだ、わたし、あまりにもバタバタしていたから、お弁当を忘れてきちゃったんだ。
「ありがとう、お父さん」
お父さんから、お弁当箱を受け取って、わたしは蓋を開けた。
厚焼き卵を口に入れながら、お母さんは何を考えながら、このお弁当を作っていたんだろう、なんて考えてしまった。
ただでさえ、お兄ちゃんのことも見ていなくちゃいけないのに、お弁当なんて作らされる生活は大変だし、やっぱり面倒だっただろうな……。
お弁当は美味しいはずなのに、なぜだか後ろ向きになってしまった。