キミの言葉で、人生に光が灯りました。
第2章
体育祭が終わり、またいつも通りの生活が始まった。
教室を見回すと、日焼けをしているクラスメイトも何人かいた。
「おはよう、花」
「あ、おはよう」
優衣が、教室に入ってきた。
優衣は、常に美容に気を遣っていることもあり、全然焼けていないみたいだった。
「おはよー」
税所くんが教室に入ってきては、わたしにそう話しかけてきてくれた。
税所くんも、こうして見ると焼けたんじゃないかな。
「おはよう税所くん」
わたしが挨拶を返すと、静かに頷きながら歯を見せて微笑んでくれる税所くん。
こうやって挨拶を交わしただけでも、なぜだか心に優しい光でも差し込んできたような、幸せな気持ちが溢れそうになってしまうのだ。
この微笑みを、ずっと見つめていたい。
もう、ここで時間が止まってしまってもいいから。
「おーい、陽介ー!」
しかし、時間が止まるなんてことはあり得なかった。
「なんだよ圭一!」
教室のドアのそばで、斉藤くんが税所くんを呼んでいる。
「これお前のだろ? 廊下に落ちてたぞ!」
「おぉ、気づかなかった。サンキュー」
視界にはもう、わたしに微笑んだ税所くんは見えなかった。