水曜日の約束
あ、でもせっかくだから写真だけ。

カシャ
シャッター音が鳴って人が後ろにいることに気づいた男の子がふと後ろを向いた。
結構綺麗な男の子。言葉で説明するのは難しいけど、サラッとした艶のある黒髪に長いまつ毛、表情はなんだか微笑んでいる?


「はじめまして、こんにちは。」
男の子が口を開いた。

「こんにちは。」
私も釣られて口が開く。

「急なんだけどこれ、持ち主知らない?」
男の子がポケットから出してきたのは、小さな月の半透明な飾りのついたキーホルダーのようなもの。
私のスクールバッグに付いている茶色いくまのぬいぐるみの続きの飾りである。
正直なくしたことに気づいていなかったし、それを目の前に出されてやっと気づいた。

「私のです!ありがとうございます。」
「はい。」
話しかけてきた割に無愛想だな。
私はキーホルダーを拾ってもらった恩も知らずそんなことを思った。


キーホルダーを受け取り、少し気まずい空気ぐ流れたので私は続けた。
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