一途な一匹狼に片想いしてます
梶野くんに話しかけられた途端、焦ってただ首を縦に振った。
だって、なんだか、彼がかっこよく見えて。
心配そうにあたしを見つめる姿に、キュンとしたんだもの。
「あっ、あっ」
「あ?」
「あ、あああ、あああぁぁぁあ!」
“ありがとうございました”が言えなくて、“あ”を叫びながらわたしは走って逃げた。
これが、梶野くんの優しさを見つけた瞬間だった。
きっと、梶野くんはこんなこと覚えてないかもしれないけれど。
わたしのことを助けてくれた彼梶野祥吾くん。
あの時からずっと――梶野くんは、あたしの好きな人です。