一途な一匹狼に片想いしてます
そんなわたし、村田若菜は、地味で平凡な普通の女の子。
髪は2つに結んで、黒縁の眼鏡をかけている。
もちろん校則は破ったことがない。
だから、こんなわたしと梶野くんには何の接点もあるはずがなかった。
近づきたくても近づけない。
正反対のわたしたちは会話するどころか、目も合わせたことがなかった。
「ふわぁ……」
あっ、また梶野くん、欠伸した。
いつも眠そうだな。昨日も、寝るの遅かったのかな。
そんなことを思いながら、彼を観察するのが、あたしの日課になっている。
「それじゃあ、次の問題を……」
数学のおじいちゃん先生がぐるりと教室を見渡す。
梶野くんに当てたら、答えられないんだろうな。
ちらりと彼を見ると、やっぱり眠そうな表情をしていた。