一途な一匹狼に片想いしてます



「それともこっち見る?あたし、一応問3解いてあるよ」


そう言って今度はノートを見せた。

すると、ますます眉間にしわを寄せた梶野くん。


梶野くんがこんな表情すること分かってたのに、あたしって、懲りないヤツかもしれない。



「………ふわぁ」


そして、眠気が耐えられないのか、もう一度大口を開けると

梶野くんは、そのまま机に突っ伏してしまった。


あっ、寝ちゃった。まだ答えてないのに。


「まったく、梶野はしょうがないヤツだな。仕方がない。代わりに村田、解いてみろ」

「えぇっ!わ、わたし!?」

「そうだ、わたしだ。村田が話しかけて眠ったようなもんだからな」


梶野くんは最初から眠そうだったし。

わたしが話しかけたから、眠った訳じゃないのに。



……たぶん。



でも、隣の席で呑気に寝息を立てて眠っている彼を見たら、当てられたことをあまり怒れなくなってしまった。

なんて、彼はこんな無防備に寝ているんだ。






< 5 / 18 >

この作品をシェア

pagetop