一途な一匹狼に片想いしてます
授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると、まだ先生の解説が途中であるにもかかわらず、さっさと教科書やノートをしまうクラスメイトたち。
いつものことながら、先生を不憫に感じる。
「じゃ、じゃあ、この続きは次の授業で」
苦笑いを浮かべた先生が教室を去るのを見ていると、お弁当を片手に坂本百花がやってきた。
彼女は高校に入ってから仲良くなって、わたしの唯一のお友達。
今では彼女のことを“モモちゃん”と呼んでいる。
―――ガタッ
モモちゃんがあたしの前に椅子を持って座った時、隣から聞こえた大きな音に、思わずそちらに視線が向いた。
そして、その音の発信者である梶野くんがちらちら彼を見ているクラスメイトをひと睨みすると、教室を出ていった。
その睨みはかなりの迫力があって、クラス中が一気に凍りついてしまう。
梶野くんは、なんでいつも一人でいるんだろう。
どうして、人を寄せ付けない雰囲気を作っているんだろう。
それがずっと、気になっていた。