一途な一匹狼に片想いしてます
最近のモモちゃんは、彼の話をするたびあり得ない、あり得ないと言う。
それはもう、あり得ないが口癖になるんじゃないかって言うくらいだ。
「梶野がそんなことするなんて想像できない。やっぱり人違いじゃないの?」
「違うって!あれは絶対梶野くんだった!」
「まぁ、どっちでもいいけどさ。あっちは助けた子が若菜だって気付いてないんでしょ?」
どっちでもいいって……
モモちゃんは本当に梶野くんのこと興味ないって感じだ。
「たぶんね。だってあの時、わたし……」
「休日仕様だったんでしょ?」
「うん、だから全然気づいてないよ」
「そりゃ、そうだ。若菜って学校にいる時と、休日じゃあ全然違うからね」
たぶん、梶野くんは気付いてないと思う。
だから、あの時のお礼も言えないまま。
いつか言いたいなって思ってるのに、なかなか言えない。
だって、まさかわたしにあんな趣味があるなんて思ってもみないだろうから。