僕の特技は秘密です

古い思い出

子どもの頃、神社の椿の木に花が咲くと、母がよく僕（一条 旺介）の髪に飾ってくれた。

紺のワンピースに赤い椿の組み合わせが、上品な感じがして好きだった。
だけど、この記憶にある母は、全く知らない人なのだ。

男の僕の頭に花を飾り、ワンピースを着せるなんて母の性格からしてあり得ないし、紺のワンピースどころか、女の子をイメージするような服なんて持っていた記憶がない。

どちらかと言うと、人見知りで消極的な僕に対し、いつも母は『男はいつでも堂々と！』と言っていた。そんな母が僕にワンピースを着せるだろうか？？

この想い出を頭に浮かべると幸せに包まれた感じがして、暖かい気持ちになる。
懐かしい気持ちにもなるし、変な感じだが自分の記憶には違いない。