僕の特技は秘密です
「ところで、心霊スポットって、どんなところなんですか??」
バックミラーで沙紀さんの顔をチラッと見ながら質問をした。昔は敬語なんか使わなかってけれど、沙紀さんが社会人になったあたりから、自然と敬語に切り替わっていった。
姉弟である橘は当然タメ口なので、時々つられそうにはなる。
「んーとね、最近、オカルト系のSNSで盛り上がってるんだけど、秋魂神社って言うところでね、和服を着た女性の霊が夜な夜な境内にある池の石橋の上に現れるんだって!もともと悪霊を御霊信仰故に祀られた神社らしく、その悪霊が彷徨ってるんじゃないかって噂なの。」
…秋魂神社。
『つーちゃん』と出会った神社もそんな名前だったような気が…。
また、彼女に会えるだろうか??
…少し期待してしまう。
「姉貴、怖がりなのに何でこんな心霊スポットの特集組むことになったのー?」
助手席の橘が後ろを振り返って尋ねる。
「たまには変わった特集をしようって話になって…。その上、上司のアイディアなもんで拒否できなくて…。先月、突然異動してきた人なんだけどオカルトとか好きらしいの。」
「それは不安でしたねー。」
先程と同じようにバックミラーでチラッと顔を見ながら返事をした。
2時間半ほど車を走らせると山切村に着いた。
山切村の由来は遥か昔に帝から授かった刀が山をも切れると言われる名刀で、『山切丸』と名前がつけられており、そこからいていると子どもの頃に祖母から聞いた事があった。
山々に囲まれた場所にあり、時々民家はあるものの、畑と田んぼしかないよくある田舎村だ。
祖父母の家からはコンビニへ行くにも車が必要だし、ジュースひとつ買いに行くにも歩いて30分のところにある自動販売機が1番近い。
観光地でもなく何もないこの地のため、月の華ホテルの売店は24時間営業とし、自然からの癒しを求めつつも、便利さを捨てきれない現代人のニーズに合わせていた。
「一条から話は聞いてだけど、ほんと何もねぇところだなぁー。」
「えー!朝陽何言ってんのよー!何ないからいいんじゃないのっ!」
沙紀さんはテンション高めにキョロキョロと車の外を覗き込む。
「あはは、ほんと何もないですよねー。子どもの頃は木登りしたり虫が沢山採れたから、何でもある様に僕は感じたけど…」
「あー、確かにカブトムシとか採れそうだよな。俺、カブトムシ見ると未だにテンション上がる。」
「ほんと男の子たちって虫好きだよねー。」
「沙紀さん、先にホテル向かっちゃって良いですよね?取り敢えず荷物を預けてしまおうかと…」
「あ、うん。それでお願い!」
橘も沙紀さんも普段とは違う田舎の景色に興奮気味だった。
バックミラーで沙紀さんの顔をチラッと見ながら質問をした。昔は敬語なんか使わなかってけれど、沙紀さんが社会人になったあたりから、自然と敬語に切り替わっていった。
姉弟である橘は当然タメ口なので、時々つられそうにはなる。
「んーとね、最近、オカルト系のSNSで盛り上がってるんだけど、秋魂神社って言うところでね、和服を着た女性の霊が夜な夜な境内にある池の石橋の上に現れるんだって!もともと悪霊を御霊信仰故に祀られた神社らしく、その悪霊が彷徨ってるんじゃないかって噂なの。」
…秋魂神社。
『つーちゃん』と出会った神社もそんな名前だったような気が…。
また、彼女に会えるだろうか??
…少し期待してしまう。
「姉貴、怖がりなのに何でこんな心霊スポットの特集組むことになったのー?」
助手席の橘が後ろを振り返って尋ねる。
「たまには変わった特集をしようって話になって…。その上、上司のアイディアなもんで拒否できなくて…。先月、突然異動してきた人なんだけどオカルトとか好きらしいの。」
「それは不安でしたねー。」
先程と同じようにバックミラーでチラッと顔を見ながら返事をした。
2時間半ほど車を走らせると山切村に着いた。
山切村の由来は遥か昔に帝から授かった刀が山をも切れると言われる名刀で、『山切丸』と名前がつけられており、そこからいていると子どもの頃に祖母から聞いた事があった。
山々に囲まれた場所にあり、時々民家はあるものの、畑と田んぼしかないよくある田舎村だ。
祖父母の家からはコンビニへ行くにも車が必要だし、ジュースひとつ買いに行くにも歩いて30分のところにある自動販売機が1番近い。
観光地でもなく何もないこの地のため、月の華ホテルの売店は24時間営業とし、自然からの癒しを求めつつも、便利さを捨てきれない現代人のニーズに合わせていた。
「一条から話は聞いてだけど、ほんと何もねぇところだなぁー。」
「えー!朝陽何言ってんのよー!何ないからいいんじゃないのっ!」
沙紀さんはテンション高めにキョロキョロと車の外を覗き込む。
「あはは、ほんと何もないですよねー。子どもの頃は木登りしたり虫が沢山採れたから、何でもある様に僕は感じたけど…」
「あー、確かにカブトムシとか採れそうだよな。俺、カブトムシ見ると未だにテンション上がる。」
「ほんと男の子たちって虫好きだよねー。」
「沙紀さん、先にホテル向かっちゃって良いですよね?取り敢えず荷物を預けてしまおうかと…」
「あ、うん。それでお願い!」
橘も沙紀さんも普段とは違う田舎の景色に興奮気味だった。