僕の特技は秘密です
ホテルへは県道から細い横道をさらに山奥へと登って行く。

僕はいつも車で来るので利用した事がないが、バスもほとんど通っていないと等しい状態なので、お客様のご要望に合わせて最寄りの駅からホテルまで送迎を行なっているそうだ。

車をホテルのエントランスにつけると、ドアマンがやってきて荷物を下ろしてくれた。
そのまま、車のキーを預けてレセプションへと向かう。

「ご無沙汰しております。旺介様。」
ホテルの支配人が僕のところへ挨拶に来た。
「お友達のお二方もようこそいらっしゃいました。」
橘とは沙紀さんにも丁寧に挨拶をした。
月の華ホテルは客室の素晴らしさだけでなく丁寧な対応でも評判だった。

たまたま空いていたと言う事で、支配人はロイヤルスイートを用意してくれていた。
リビングやダイニング、応接室まであるので3人でもゆったり過ごせる。
メインのベッドルームを沙紀さんに譲り、僕と橘はそれぞれ同じロイヤルスイート内にあるゲストルームを使うことにした。
ガーデン付きの部屋なので、早速、沙紀さんは外に出てガゼボにあるソファで寛いでいた。

「姉貴のやつ、スッカリ目的わすれてねー?」
その姿を見て二人で笑ってしまった。
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