僕の特技は秘密です
「椿、夜連絡するよ。梨香子いくぞ!」
と、言うとつーちゃんの頭に軽く手を乗せた。

…はっ?
彼のなれなれしい態度にイラっとしたが態度を変えないように意識する。

「うん、じゃあ、つーまたね!」
「うん、ばいばい」

友達と別れたのでつーちゃんのお父さんに挨拶をし、境内の石橋のところへ向かう。

「ここが始まりなのは確かなんだけどなぁー。」
橘が橋の周りをうろうろし始めた。

「あとは見てないのは橋の裏がわぐらいだ…。あっ!そうか!転がって寝るんだから橋の裏に何かあるはず!」
そういうと、靴を脱ぎ、ズボンを膝の上までまくって池に入る。

「一条!あったぞ!橋の裏に龍が彫ってある!」
「今そっちに行くっ!」

僕も一条と同じように靴を脱ぎ、濡れないようにした上で池に入る。

「マジだ…。龍が彫ってある。つ…次の歌詞は何だっけ???」
「『龍の目ん玉 火であぶれ』だ!椿ちゃん、ライターか何か持ってきてー!」
「あっ、はい!わかりました!」

つーちゃんが慌てて社務所の方へとライターを取りに走った。

何か仕掛けがあるのかと、こぶし大の龍の目玉を触っていると、一瞬上に上がりストンと目玉が取れた。
一瞬、池に落ちるかと思ったが、間一髪のところで橘が目玉をつかむ。

「っあっぶねー。」
「悪い!橘。助かった。」

目玉は中が空洞になっており、何か紙のようなものが入っていた。池に落とし、濡れてしまってはまずいと思い、それをもってつーちゃんが向かった社務所へと移動した。
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