僕の特技は秘密です
「ずっと、旺介くんのこと空想のお友達って言われていたのに、会わない時間が無かったみたい。」

…えっ。

「…同じような事を考えてた。」

二人見つめ合ってしまう。

いつもなら、なんの抵抗もなくこのままキスの流れに持っていくのだが、つーちゃんに見つめられると体が動かない。

と言うか、初めてのキスは彼女のが望む素敵なシチュエーションでしたいと思った。

暫く見つめ合っていると

『…だめよ。許さないわ。』

っっっ!!!
誰だ!?

振り返ると誰もいない。

あたりを見渡す。

こないだと同じだ。ピリピリとしたイメージの元となるものが無い。

「どうしたの?」

つーちゃんが不思議そうに見つめる。

「声がしたんだ。…女の人の声。『許さない。』って…」

「やっぱり…、悪霊の封印が解けているのかしら…。」

つーちゃんは不安な表情をする。

「あ、読み取りの力は?何か見えたりしないの?」

「うーん。読み取れるようなのはこの辺りにはなさそうなんだ…」

「…そう。」

「気のせいだったのかもしれない。不安にさせちゃったね。ごめん。」

『…そんなに、(かえで)が良いの?』
< 50 / 102 >

この作品をシェア

pagetop