僕の特技は秘密です
太平洋戦争末期。

当時、紅葉17歳、楓15歳。

元々体の弱い姉、紅葉は体調を崩しがちで床に伏せる事が増えていた。

その影響で身体は細く、色白で儚い印象だった。

反対に子供の頃から風邪ひとつひかない妹の楓は、健康だけが取り柄と言っても過言ではないくらい明るく元気であったそうだ。

ある時、都会から紅葉と同じ様に体の弱い青年、清が山切村に疎開してきた。

紅葉と清は同じ様な境遇の上、年齢も近かったので、すぐに仲良くなった。
そして、少しずつ、少しずつ2人は恋心育てていった。

そんな2人を楓は、体調を悪くし紅葉が動かない時は手紙を届けたりし、暖かく見守っていた。

しかし、戦況は悪化し、身体の弱い清にまで召集を知らせる赤紙が届いてしまったのだ。

そんな中、食糧難で栄養が取れないせいか紅葉の体調が悪化してしまい、意識がない日が続く。

戦地へ出向くことを打ち明けられないまま、紅葉はそのまま意識が戻らず亡くなってしまい、清もそのまま戦死してしまったそうだ。

今の様に食糧が豊富であれば…

平和な世の中であれば…

悔やまれる事は多い。

つーちゃんのお婆さんの話では、楓さんは幼いつーちゃんのお婆さんに『きっと、2人は天国で幸せに暮らしているわ』と良く話してくれていたそうだ。

この話を聞いただけでは、『…許さない』とあの日、紅葉さんののイメージに言われた言葉に納得がいかない。

楓さんが願ってたように、2人は天国で幸せになったわけではないのか!?

…疑問が残る。
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