ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
東堂は、若葉の腰にがっちりと両腕を回し、若葉を自分の身体に固定している。
そして、若葉の胸元に顔をうずめた。

若葉の心臓が早鐘を打つ。

「あ、あの・・・冬英さん？」

若葉は一瞬、東堂さんの髪に触れようとしたが、躊躇った。
自分に自信がなかったのだ。こんな私を東堂さんが受け入れてくれるはずがない・・・。
若葉は自分の今ある状態にどうしていいか分からなかった。

東堂は、ゆっくりと顔を上げると、いたずらっぽい少年のような瞳で若葉を見上げた。

「もう、僕から離れないで。」

東堂からの思いがけない言葉に若葉は驚いた。

「え？許してくれるんですか？私、冬英さんに迷惑をかけた上にひどいこと・・・。」

「若葉さんを失うことより、ひどいことなんてないよ。」

そう言うと、東堂は、また若葉の胸に顔をうずめた。

「あ、あの、冬英さん・・・？一回離して頂けますか？」

と、戸惑う若葉に東堂は間髪入れず、

「いやだ・・・。」

と言った。

「え？冬英さん？どうされたんですか？いつもの冬英さんらしくないです。」

「ずっと若葉さん不足だった上に、この2週間ほとんど寝てなくて。」

「え？そういえば集中して仕上げてしまわないといけない案件があったんですよね。
とにかく、一回ベッドでちゃんと休んでください。」

という、若葉の言葉に、

「・・・分かった。じゃあ一緒に行って。」

と、東堂は観念したように言った。

「・・・はい。」

と、若葉が返事をした。若葉は東堂が自分に甘えてくれているようで、嬉しかった。

若葉は東堂に手を引かれて、二人はベッドルームへ移動した。

東堂は、ベッドルームに着くなり、若葉をベッドに押し倒した。

東堂は優しく若葉の頭と頬をなでてからキスをすると、突然動きが止まった。
そして、そのまま倒れこむように若葉の胸の中で寝息を立て始めた。

「冬英さん？」

若葉は東堂の身体の下からなんとか這い出ると、東堂にそっと布団をかけた。

若葉は、小さい声で、

「ありがとう。」

とつぶやくと、すーすー寝息を立てている東堂の頬にそっとキスをした。
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