ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
一時間後


「しまった!」

と、ガバッと東堂はベッドから飛び起きた。

「若葉さん・・・。」

東堂は、ベッドルームを見渡すが誰もいない。

「あ~、なんで寝落ちなんか・・・。」

東堂は両手で自分の頭をかかえた。東堂は、若葉が会いに来てくれた嬉しさと、またやり直せる安堵感で
熟睡してしまったのだ。

東堂は、がっくりと肩を落としながら、リビングに続く扉を開けた。

しかし、東堂は目の前の光景に一気に笑顔になった。

テーブルの上には二人分の軽食が置かれ、ラップがしてあり、
ソファーには、帰ってしまったと思っていた若葉がうたた寝をしていた。

東堂は、若葉の横に座ると、ソファーで眠る若葉の美しさにしばし見とれていた。

触れたいが、起こしてしまう。

そんな葛藤を抱きながら若葉を見つめていたが、我慢も限界になり、
そっと若葉の唇にキスをした。

「ん?」

若葉は、唇に何かが触れた感触で目を覚ました。

「あ、冬英さん、ごめんなさい。何も食べてないかなと思って、
勝手に冷蔵庫にあったもので作ってしまいました。」

「うん、助かる。ありがとう。」

と言って、東堂は、もう一度、少しまどろんでいる若葉の唇に軽くキスをした。

若葉は、照れながら立ち上がると、

「召し上がりますよね?温め直しますね。」

と言って、キッチンへ向かった。

東堂は、若葉の後ろ姿を見て、この上ない幸せを感じていた。
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