ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
「うちの旅館そっくり・・・。」
「本当ですか??もし本当に似てたら、その旅館バズりますよ!」
「え?なんで?旅館名も出てないし、似てるだけで、実際モデルになったかどうかなんて・・・」
と言いかけて、若葉は黙り込んだ。
そういえば、うちの旅館に泊まりに行ったって言ってなかったけ?いや、でも
こんな短期間で・・・ないない。
「河合さん?河合さん?」
若葉は坂本君が呼んでいることになかなか気づかなかった。
「河合さん??」
「あ、ああ、ごめん。」
「だから、実は聖地っていうのは、ファンが勝手に作ってることが多いんですよ。
似たところを見つけて画像アップしたりしてね。もちろん、最初からここをモデルに
しました、とか出してるとこもあるんですけど、似てるところを発見するのも楽しいっていうか。
ほら、見てください。例えば、この旅館、そっくりでしょ。」
と言って、坂本君は投稿された若葉の実家の旅館の写真を見せた。
「ここが今一番有力候補で、多分あと1か月もしないうちに大バズリしますよ。」
これ・・・、うちの旅館・・・。
若葉は、バッグを手に取ると、
「坂本君、ごめん、ちょっとベリーズソフトさん行ってくる!」
「え?今日、アポ取ってないですよ!」
「ごめん、ホワイトボード、適当に帰社時間書いといて!」
と言い放ち、バタバタと出て行った。