ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする

「うちの旅館そっくり・・・。」

「本当ですか??もし本当に似てたら、その旅館バズりますよ!」

「え?なんで?旅館名も出てないし、似てるだけで、実際モデルになったかどうかなんて・・・」

と言いかけて、若葉は黙り込んだ。

そういえば、うちの旅館に泊まりに行ったって言ってなかったけ?いや、でも
こんな短期間で・・・ないない。

「河合さん?河合さん?」

若葉は坂本君が呼んでいることになかなか気づかなかった。

「河合さん??」

「あ、ああ、ごめん。」

「だから、実は聖地っていうのは、ファンが勝手に作ってることが多いんですよ。
似たところを見つけて画像アップしたりしてね。もちろん、最初からここをモデルに
しました、とか出してるとこもあるんですけど、似てるところを発見するのも楽しいっていうか。
ほら、見てください。例えば、この旅館、そっくりでしょ。」

と言って、坂本君は投稿された若葉の実家の旅館の写真を見せた。

「ここが今一番有力候補で、多分あと1か月もしないうちに大バズリしますよ。」

これ・・・、うちの旅館・・・。

若葉は、バッグを手に取ると、

「坂本君、ごめん、ちょっとベリーズソフトさん行ってくる!」

「え?今日、アポ取ってないですよ!」

「ごめん、ホワイトボード、適当に帰社時間書いといて!」

と言い放ち、バタバタと出て行った。

< 125 / 128 >

この作品をシェア

pagetop