ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
東堂の部屋

「冬英さん、本当にありがとうございました。
どれだけお礼を言ってもいい足りないくらいです。」

「もう、お礼は聞き飽きたよ。若葉さんと一緒に
いたかっただけだから。そのために出来ることを僕なりのやり方で
やっただけだよ。」

「それでも・・・本当にありがとう。」

「そろそろ、この指輪、着けてくれるかな?」

「あ、あの時の・・・。」

東堂が出したのは、あの日、若葉が東堂に返した指輪だった。
若葉が頷くと、東堂は、若葉の左手を取り、ゆっくりと、薬指に指輪をはめた。

若葉は、自分の左手薬指に輝く指輪を見て、

「やっぱり、すごくきれい・・・。」

と、笑顔でつぶやいた。

「本当は、もっと早く渡したかったんだけど、有野社長と同じになりたくなくて。
もし、お金のことを気にして、若葉さんの本当の気持ちを押し殺してしまうようなことが
あってはいけないからね。お金の清算が終わってからと思ってたんだ。」

「そんなこと・・・。私には冬英さんだけなのに。」

「そう言ってもらえると自信がつくよ。」

「オンラインゲームも素晴らしかったです。実は私もダウンロードしてて・・・」

と言いかけたところで、東堂は若葉を抱きしめた。

「あっ!」

若葉は驚いて声が出た。

「だめだ・・・若葉さんのことが好き過ぎて・・・。」

東堂は若葉の肩に顔をうずめながら、強い力で抱きしめた。

「冬英さん?い、痛いです・・・。」

「あ、ごめん。」

東堂は、若葉の言葉にすぐに腕の力を緩めた。
そして、優しく若葉の唇に自身の唇を重ねた。

「優しくするから、ベッドに連れて行ってもいいかな?」

若葉は頬を赤らめながら、

「・・・はい。」

と返事をした。
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