ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
「PCを修理した男のこと、覚えてます?」

と、唐突に質問してきた。

「も、もちろんです!その節は大変お世話になりました。」

と、言って、若葉は深々と頭を下げた。そして、さっと頭を上げると、

「ファミレスのお会計…。あと、PCの修理費用も…。」

と言って、バッグから財布を出そうすると、東堂さんが手で遮った。

「僕は修理屋じゃないから、もらえないよ。それより、お礼のこと覚えてます?デートがいいって書いたんですけど。」

「え?ええ…。」

と、若葉は、気まずそうに答えた。

「あ、でもデートしたら彼氏が怒りますよね?」

「いえ、それはないです。つき合ってる人はいないので。」

と、若葉が言うと、東堂さんは、満面の笑みを浮かべ、

「じゃあ、お礼に水族館デートしてください。今日18:00にスカイモールの水族館前で待ってます。」

「え?今日ですか?!」

と、若葉が驚いて聞くと同時に、扉がノックされた。

「どうぞ~。」

と、東堂さんが言うと、坂本君が入ってきた。

「失礼します。あれ?河合さん、顔赤いですけど大丈夫ですか?」

若葉はその言葉に返事はせず、

「どうだった?」

と、坂本君に質問で返した。

「このまま、こっち優先になりました。なんせ大きな契約ですもんね。」

「良かったわ。」

と、答えると同時に、佐野さんが

「お待たせしました。」

と言って、部屋に入って来た。
全員揃うとすぐに仕事の話に戻り、それ以上、若葉は東堂さんと個人的に話をすることはなかった。

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