ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする

一夜をともに?

若葉は浴室に駆け込むと、浴槽にお湯を溜め始めた。

ザー

お湯の音を聞きながら、大きな鏡に映った自分の姿を見ると、フルマラソンを走り終えた後と見間違うほど顔が赤く火照っていた。恥ずかしい。こんな顔見られてしまうなんて。

「なんで私あんなこと言っちゃったんだろう・・・。」

と、若葉はぼそっと呟いた。

でも、私…あの東堂さんと付き合うんだよね…。嬉しい…。

若葉は少し落ち着きを取り戻した。
ふと洗面台を見ると、
ホテルに備え付けのアメニティーはオーガニックで有名なブランドのもので揃えてあった。

若葉は服をぎ、シャワーを浴び、浴槽に浸かった。

「ふう~。気持ちいい。」

先程、東堂さんの髪や体からした香りと同じ香りが、浴室じゅうに広がっていた。
落ち着いたはずが、その香りで先程の東堂さんとの事が頭をよぎる。
心も体もすっきりさっぱりしたくて、シャワーを浴びたいと言ったのに、その香りでまたドキドキする。

若葉はシャワーを浴びたいなんて言ったことを少し後悔した。
まるで私がやる気満々みたいに取られてないだろうか・・・。

いや、そもそも、昨晩初めて会った人と、身体の関係を持つなんて早過ぎでは・・・。
いやいや、もう二人とも大人なんだし、これくらいは普通では?
というより、本当にお付き合いできるのだろうか?告白も私を抱くための口実だとしたら?
さすがに取引先の人間を弄んだりしないか。
私がずっと憧れてきた東堂さんがそんなことするはず・・・

などと、ぐるぐると考えを巡らせていると、お湯が温くなってきた。
若葉は長湯し過ぎたと慌てて風呂から上がった。

若葉は着替える途中に一瞬動きが止まった。

こういう時は何が正解なのだろう。

とりあえず、下着を付け、ホテルに置かれていたナイトウェアに着替えた。
東堂さんと同じバスローブにしょうかとも思ったが、やる気満々だと
思われたくない。若葉なりのささやかな抵抗だった。




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