ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
幸せな朝
窓から降り注ぐ朝の柔らかい光が若葉の顔を照らしていた。
その光で、若葉はゆっくりと目を開けると、目の前の光景に驚いた。
「え?なんで?」
東堂さんの整った寝顔が若葉の目の前にあった。そして東堂の腕が若葉をしっかりと
ホールドしていた。若葉の鼓動が急激に早くなる。一気に血圧が上昇して心臓が止まるのではないかと思うほど
若葉は自分の置かれた状況に慌てふためいた。
なぜ東堂さんが同じベッドで寝ているの??昨日は、たしか東堂さんとは別の部屋で寝たはず。
と、動揺しながらも記憶を整理する。若葉は東堂を起こさないようにゆっくりと東堂の腕の中から出ようとするが、
東堂の腕が思いのほか重く、東堂の腕の中から抜け出せない。
若葉が一人でもぞもぞと東堂の腕と格闘していると、東堂が目を覚ました。
「あ、あの、おはようございます・・・。」
若葉は、申し訳なさそうに言う。
すると、東堂さんが、
「おはよう。」
と言ってから、若葉をぎゅっと抱きしめた後、若葉の身体の上に四つん這いになり覆いかぶさった。
若葉の顔がさらに赤くなる。
「え?あ、あの、東堂さん?どうされたんですか?」
若葉は東堂の予想外の行動に驚きながらも聞いた。
「どうして起こしてくれなかったの?」
と、東堂は不機嫌そうに聞いて来た。
東堂の美しく整った顔があまりにも近く、視線を合わせることが出来ない。
「それは、その・・・東堂さんがぐっすり眠ってらっしゃったので。気を
利かせたつもりだったんですが・・・。」
目を泳がせながら若葉が答えると、
「夜中に目を覚ました時は驚いたよ。君がいなくて。もしかして僕が眠っててほっとした?」
図星だ。見透かされてる。と思いながらも、
「PCの修理やデートとか、とにかく私のせいでお疲れなのは存じてましたので。」
「十分眠ったから、今は最高に元気なんだけど。若葉さん、今日は休みだよね?」
「そ、そうですね。一応お休みです。」
「じゃあ、この部屋はレイトチェックアウトだから、それまでゆっくりしていかない?」
ベッドの上で東堂さんに迫られ、若葉は嬉しさと恥ずかしさでいっぱいだった。
「カ、カーテン閉めてください。」
と、若葉が布団で半分顔を隠し恥じらいながら言うと、東堂は、
「喜んで!」
と、言って若葉のおでこに軽くキスをしてから、軽やかにベッドから飛び降りると、カーテンを閉めに行った。