ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする

30分ほど車で走ると、大きなイベント会場に到着した。
駐車場に車を止めて、会場の方に向かう。
東堂は自然に若葉と手を繋ぐと、誘導するように歩き出した。

車中では、たわいもない話で盛り上がり、今日の行先の話には
一切触れなかった。

開場の周りに立っている旗や、会場に設置された垂れ幕を見て、若葉は驚いた。

「あれ?もしかして・・・。ゲームオブベリーズの5周年記念イベント??」

「正解!」

と言って、東堂が微笑んだ。

「え?でもこれってすごい倍率で。私も抽選応募して2日間とも外れたんですけど。
もちろん関係者枠もなくて・・・。え??もしかして入れるんですか?」

若葉は瞳を輝かせながら東堂に聞く。

「うん。さすがに、作った人が入れないとかないから。」

と言って、東堂はポケットから関係者パスを2つ取り出した。
そしてそのうちの一つを、優しくそっと若葉の首にかけた。

若葉は関係者パスを手に取り、きらきらと瞳を輝かせながら、

「本当に私も入っていいんですか?」

と東堂に聞くと、

きらきらとした若葉の瞳に吸い込まれるように、

「本当に若葉さんも入っていいよ。」

と、東堂は笑いながら答えた。

「あ、ありがとうございます!!」

若葉の足取りが心なしか軽くなっているのを東堂も気づき、東堂の口元が思わず緩んだ。

外の会場では、ホールへ続く通路を挟むように、所狭しと飲食店ブースが立ち並んでいる。
ゲーム音楽が鳴り響き、会場へ近づくにつれ、大音量になり気分を盛り上げてくれる。
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