ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
ランチの後は、再入場し、二人で思い切りイベントを楽しんだ。

対戦ゲームをやゲームクリエーターのトークショーを観覧したり、
若葉がイベント会場限定品のグッズを1つ購入すれば、それを見て東堂がさらに他のグッズも購入し、
若葉にプレゼントしたり、若葉がガチャガチャを回して狙っていたものが出なければ、
東堂がどんどんコインを追加して、若葉の欲しいものが出るまで回させたりと、まるで
その様子は祖父が孫を甘やかすかのようだった。

「冬英さん、ほんとうにもう大丈夫ですから！」

と、若葉が遠慮しても東堂は聞かなかった。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、イベントも終了時間となった。
ただ、若葉の中には酒井さんのことが引っかかっていた。

2人で手を繋ぎながら駐車場へ向かう道すがら、

「あの、今更なんですが、私と一緒にいるところを会社の人達に見られても大丈夫なんですか？」

と、若葉が東堂に疑問を投げかけた。

「ああ、それは大丈夫。俺の顔と名前を知ってる人は会社の中でもほんの一握りしかいないから。」

「でも、酒井さんが・・・。あの酒井さんとはどういう・・・。いえ、やっぱりいいです。」

と、若葉は言いかけたが、二人の関係を聞くのが怖くなり、途中で聞くのをやめた。
しかし、東堂は若葉の不安を察し、話し出した。

「酒井は会社を立ち上げた時からの仲間で、会社の同僚だよ。若葉さんが
心配するようなことは何もないから安心して。」

と言って、東堂は若葉と繋いでる手に軽く力を込めた。

若葉は、東堂のぬくもりと言葉を聞き、安堵した。

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