ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
東堂は、若葉を送る車中で、

「ずっと今のところに住んでるの?」

と、質問した。

「はい。社会人になってから。」

「駅から遠くない?街灯も少ないよね。」

「駅から15分くらいで歩ける距離ですし、家賃が安いので。」

「節約で?」

「節約ってほどではないんですが、一人でも生きていけるように今から老後のために
貯めておきたいなと。」

「すごい!しっかりしてるんだね。」

「いや、そういうわけでもなくて。実は実家が旅館なんです。
うちは女の子しか生まれなくて。2人姉妹で。両親から姉妹で旅館を
守れと育てられてきたんですが、それが嫌で高校卒業と同時に家を出たんです。
こっちに出てきて奨学金でなんとか大学は卒業して、今の会社に。
旅館は姉が婿養子をもらって継いでくれてます。私だけ自由に暮らしてしまって。
本当に姉には申し訳なくて。だから姉に何かあったら私は出来るだけのことはしたいと
思ってて。」

「そうだったんだね。僕は実際にお姉さんにお会いしたことはないけれど、多分
お姉さんも若葉さんのこと思ってくれてるんじゃないかな。」

「なんか、すいません、いきなり暗い話をしてしまって。」

「そんなことないよ。若葉さんのこと知りたいと思ってたから。話してくれてありがとう。」

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