ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
若葉は12:30には昼休憩がてら会社を出て、カフェに向かった。

酒井さんの雰囲気から、約束しておきながら席がないとなるとうるさそうなので、
早めに行って席の確保がてら、ランチを取ることにした。

12:45分、席を確保し、BLTとコーヒーを注文し、食べ始めると、

「随分、余裕ねえ。」

と言って、酒井さんが現れた。

「す、すいません、ちょうど昼休憩だったので。」

「冗談よ。構わないわ。」

と言いながら、コーヒーのカップをテーブルに置いてから、席に座った。

「単刀直入に聞くけど、あなた東堂と付き合ってるの?」

「ゴホゴホッ。」

若葉は突然のその質問に、飲みかけのコーヒーでむせてしまった。
付き合っていることは秘密にすることになっている。
若葉は酒井が何を根拠にそう思うのか、探ることにした。

「あの、どうしてそう思うんですか?」

「私ね、あの後、会場で手を繋いでいるあなたたちを見たのよ。」

手?繋いでたっけ?いや、会場内では繋いでないはず。外では繋いでたわ。

「人が多かったから、はぐれないようにたまたま手を引いた時に見られたのかも・・・。」

と、若葉は答えた。

「ふ~ん。」

と、酒井は明らかに不満そうな表情で言った。

「ところで、酒井さんと東堂さんはどういったご関係なんですか?」

と、若葉が聞くと、

「東堂はなんて言ってた?」

と、逆に酒井が聞いて来た。

「会社の同僚っておっしゃってました。」

「でしょうね。元カノなんて自分の口から言えないものね。」

と、酒井が不敵な笑みを浮かべて言った。

若葉はその言葉を聞いた瞬間、胸に痛みが走った。
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