ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
定時に仕事が終わり、若葉が会社を出ると、約束通り、会社の前に
東堂の車が止まっていた。
若葉は重い気持ちのまま東堂の車に乗り込むと、車はそのまま、東堂のマンションへ向かった。

「家の方がゆっくり話せるかなと思って。」

と、東堂が言った。

「はい。お任せします。」

と、若葉は返事をした。

坂本くんからの情報通り、東堂の家は駅前の高層マンションの最上階の部屋だった。

「お邪魔します。」

部屋に入ると若葉の口から思わず声が漏れた。

「わあ。すごい。キレイ。」

さっきまでの暗い気持ちが一気に吹き飛んだ。
壁一面の大きな窓から、東京の夜景が煌びやかに輝いていた。

すると、後ろから、東堂に抱きしめられた。

「今日は嫌な思いをさせて本当にごめん。」

「そんな・・・。」

若葉も東堂の腕に手を添えた。

「もう大丈夫だから。今日佐野と話して、酒井は解雇することにしたから。」

「え?」

「だからもう若葉さんが嫌な思いや不安になるようなことは起きないから。」

「え?ちょっと待ってください!」

若葉は振り向き東堂の方を見た。

「あの、会社設立当初からの同僚で、なくてはならない人材なんですよね?
そんな人をこんなことで解雇なんてしちゃだめです!」

「酒井はやってはならないことをしたんだよ。遅かれ早かれ
こうなることは決まっていたんだ。」

「そんな・・・。」

「若葉さんが気にすることはないから。若葉さんは優しすぎるところがあるね。
まあ、そういう所も好きなんだけどね。」

言ってから、東堂は再び若葉を抱きしめた。

どんな言葉よりも、東堂に抱きしめられることで、若葉は安心と安堵と
自信を得ることが出来た。


明日から東堂は海外出張ということもあって、若葉は早めに帰宅した。
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