ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする

忍び寄る影

東京に戻り、家に着くと、息をつく暇もなく、若葉はノートPCを立ち上げた。
若葉は、東堂にPCを修理してもらってから、何かしら、すぐに保存するように
なっていた。もちろんボイスレコーダーの音声データも。音声データは、
若葉の携帯を使ってPCに転送していたのだ。ボイスレコーダーの中の音声データは
消去されてしまったが、しっかりとPCに保存されていた。
若葉は経営コンサルタントの友人向けに、カタカタと手早くメールを打つと、音声データを添付ファイル
にして送った。

そしてすぐに経営コンサルタントの友人に電話をした。
何回かコール音が鳴った後に、

「・・・はい。」

と、元気のない声で、はるかが電話に出た。

「もしもし?若葉です。今、メール送ったんだけど・・・」

と、若葉が言いかけたところで、

「若葉、ほんとにごめん。これ以上は協力出来ない。」

「待って!ちゃんと相談料は支払うし。」

「そういうことじゃないの。なぜか会社の上司から、ストップがかかって。
会社辞めたくないのよ。分かって。」

「じゃあ、せめて、音声データを送ったからそれだけでも聞いて・・・。」

「ほんとにごめん!」

と言われて、通話を切られた。

若葉は呆然とした。

なに?どういうこと?何が起こってるの?
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