ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする

プロポーズ

夕方、若葉の携帯に、東堂からメールが入った。

外に出られないけど、若葉に会いたいからうちに来てほしいという連絡だった。

若葉は、東堂にOKの連絡を返すと、全力で仕事に取り組んだ。

「お先に失礼します!」

と若葉は定時と共に会社を飛び出した。

会社を出ると、すぐに東堂に電話をした。

佐野さんから外出を止められているので、何か欲しいものがあるかもしれない。

「おつかれさまです。河合です。今から向かいます。
何かいるものありますか?」

「はははっ。業務連絡みたいだね。」

と、東堂が笑った。

「すいませんっ!」

「いや、いいよ。今冷蔵庫に何もないから、若葉さんが食べたいものとか
あれば。」

「帰国されたばかりですもんね。分かりました。何か適当に買っていきます。」

若葉は、デパ地下で、キッシュやサラダなどを数点購入してから東堂のマンションに向かった。

東堂のマンションを訪れるのは2回目だが、ロビーからエレベーターまでの厳重なセキュリティーには慣れそうにない。

エレベーターが最上階に着いた。

若葉は大きく深呼吸してから、インターホンを押した。

ピンポーン

と、きれいな音色が響いた。

ガチャ

と、扉が開くと同時に、腕を掴まれ、中に引き入れられた。

「えっ?」

咄嗟の出来事に若葉は驚いた。

そして、そのまま内側のドアに背中を押し付けられて、東堂に唇を奪われた。

ガサっと手に持っていた袋が床に落ち、肩に掛けていたバッグもずれ落ちた。

「んんっ・・・」

若葉は息をつく隙も与えられず、深く深く東堂が絡みついて来た。

「はぁっ・・あのっ・・・東堂さん?」

若葉は必死で抗った。

「ごめん・・・。気持ちが抑えられなくて。本当は会社で会った時から抱きしめたくて
ずっと我慢してたんだよ。」

東堂はそう言うと、密着させていた身体を若葉から離し、落ちた袋とバッグを拾った。

「いえ、大丈夫です。ちょっとびっくりしましたが・・・。」

と、若葉は赤面しながら答えた。

「入って。」

「お邪魔します。」

と言って、二人でリビングに移動した。


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