ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
「本当に泊まって行かないの?」

「ええ。明日も仕事だし。」

「本当は送って行ってあげたいんだけど、ごめん。」

「分かってます。また撮られたら株価にも影響しますもんね。」

「ほんと、申し訳ない。」

「いえいえ、大丈夫です。タクシーで帰りますから。」

「気を付けて。家に着いたら連絡して。」

「はい。ありがとうございます。おやすみなさい。」

「おやすみ。」


玄関前で別れると、若葉は、東堂のマンションの前からタクシーに乗り込んだ。
タクシーの中で、若葉は今日の幸せをかみしめていた。

まさか、突然プロポーズされるなんて。まだ夢みたい。あの憧れっだった人から。
幸せ・・・。

若葉は左手薬指にキラリと光る指輪を見ると、思わずにやけてしまった。

その幸せな時間を遮るかの如く、携帯がブブブっと低いを音を立てた。

若葉はバッグから携帯を取り出すと、画面を見ると、姉から何十件も着信が残っていた。そしてメールも入っていた。
若葉はタクシーの中で電話をかけるのは気が引けたので、とりあえず先にメールを開いた。

母さんが倒れました。今、県立〇〇総合病院にいます。連絡ください。和葉

心臓がドクンとなり、一気に寒くなった心地がした。若葉から、先程までの幸せな気持ちが一瞬で消えた。
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