ゲームクリエーターはゲームも恋もクリアする
病室で3人になると、

「二人とも、本当にごめんね。」

と、母が詫びた。

「で、お医者さんは何て言ってるの?」

と、若葉が聞くと、

「とりあえず、血液検査の結果があまりよくなくてね。詳しく調べましょうっていうことで、
精密検査を受けたのよ。」

「そうなんだね。私、3日間休み取ったから病院付き添うわ。お姉ちゃんも
旅館の仕事があるでしょ。」

と、若葉が言うと、和葉が腕時計を見て、

「あ、いけない。もうこんな時間。戻らないと。」

と言って、ドアの方へ向かった。

「和葉、ありがとう。私のことはいいから、今は身体大事にね。」

と、母が、病室を出ていく姉に言った。

「大丈夫よ。若葉、お母さんのことお願いね。」

「うん。任せて。」

姉を見送ると、若葉は一人掛けのソファーに座った。

「ちょっとここで仕事してもいい?あ、お母さんは休んでてね。」

「ええ。」

返事を聞くと、若葉はバッグからノートPCを取り出した。

「仕事、休んで大丈夫なの?」

と、母が声を掛ける。

「うん。大丈夫。年休溜まってたから消化しないといけなかったしね。」

「仕事は順調なの?」

「うん。まあ。」

と、若葉はカタカタとノートPCを打ちながら軽く答えた。

母は、あまり話し掛けない方がいいと思ったらしく、それ以降若葉に声を掛けることはなく、
横になっていた。

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