別れる理由はATM・占いおばちゃん鑑定シリーズ1
ひょいと衝立から顔を覗かせたのは、やや、長髪、黒縁眼鏡の細面の男性。
それも一人で来たらしい。
珍しい・・
占いに来るのはカップル、女友達同士が多いのに・・

「どうぞ。おかけください」
私は営業用の笑顔で、男性に促した。

彼は長身、痩せ気味、やや猫背の体を折り曲げるように、頭を下げた。

それから、オドオドした様子で、周囲を気にしながら、パイプ椅子に座った。

「占いは初めてですか?」
私は彼の緊張感をほぐすために、聞いた。

「はい・・」
まるで、会社の面接のように、
姿勢を正して座っている。

私は、素早く彼を観察した。
客によっては、めんどうくさい輩(やから)もいるのだ。
酔っ払った客は、お断りしている。

それ以外にも、自分の思うような答えがないと、意地でも食い下がる、
こちらの言葉尻をとらえて、
けんか腰になる、挙句の果てに
鑑定料をねぎる客もいる。
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