別れる理由はATM・占いおばちゃん鑑定シリーズ1
「その、デートコースを、彼女が提案してくれます。
彼女が雑誌やネットで調べた、
有名なお店が多いですね」

「そう、彼女が提案してくれるの」

彼の言葉を繰り返す、カウンセリングの技法だ。
ただ、私にはすでに、別の感情も入っていた。

それは彼女の思惑。
自分の言う事をなんでも聞いてくれる男性、コントロールしやすい、押しに弱い・・・

「僕は、その、女の子が気に入るようなところを知らないし、仕事もメチャクチャ忙しいので、調べている暇がなくて。
だから、彼女が提案してくれて助かるし、それにすごく喜んでくれるので嬉しいです」

彼は、自分を納得させるように、「喜んでくれている」を強調した。

「彼女さんって、どんな人なの?」
私は彼の書いた彼女の生年月日から、すでに予想はしていた。

「明るくて、よく笑うし、カワイイです。それに話していて楽しいし」

彼は頬を少し上気させて、初めて私の目を見た。
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