探偵少女
 蒼空の背中を見送ると、知由は呆れた表情で有名人たちに近寄っていく。


「もう少し、周りを気にしたら?」


 知由が声をかけると、夢里は周りの視線に気付き、口を噤む。


 晴真は、敵意剥き出しの眼で知由を見る。


 それに対して、知由は不敵な笑みを浮かべる。


「そんな目をしないで。私だって、芸能人になんて関わりたくない」


 知由は平気で火に油を注ぐタイプだった。


 当然、晴真の苛立ちは増すわけだが、人目があることはわかっているようで、感情のまま言葉を発することはなかった。


 二人は睨み合う。


「でも、知由……」
「蒼空をつける。それ以上はしない」


 それで解決するとは思えなかったが、知由が妥協して提案してきたことがわかるからこそ、夢里は受け入れるしかなかった。


 しかし、晴真はそれすらも嫌がっている。


「朝原さん」


 雪兎がレジに立って、晴真を呼ぶ。


 晴真はバツが悪そうに、レジに向かう。


 雪兎に言われた金額を、カードで支払う。


「ボディガードは迷惑ですか?」


 包み隠さずに言われ、逆に戸惑ってしまう。


「ちぃちゃんは多分、夢郷さんを安心させるために言っているんだと思います。なので、できれば許可してほしいなと」
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