探偵少女
 つまらなそうにするのではなく、不気味な笑みを浮かべているのも、それを表しているようだ。


「やりすぎないでよ、ちぃちゃん」


 戻ってきた雪兎は、止めるのではなく、注意をした。


 雪兎も友奈も、止めるだけ無駄だとわかっていた。


 それに対して、知由は適当にあしらう。


「そうだ、中矢にはやってほしいことが」
「嫌よ。私は三崎の助手なんてやりたくないんだから」


 友奈は知由の言葉を遮り、最後の一口を頬張る。


「雪兎の寝顔写真一枚」


 友奈の眉が動く。


「眼鏡を外した写真」


 視線が知由を捉える。


「風呂上がり写真」
「……頼みって?」


 雪兎が止める暇もなく会話が進んでいき、苦笑するしかなかった。


「学校でこの騒ぎのことをそれとなく聞いてきてほしい」


 想像以上に大変なことを頼まれて、友奈はすぐには頷かなかった。


「自分で行ったら?」


 一度引き受けるような態度を取ってしまったがゆえに、そう言うには抵抗があった。


 だが、聞き込みをした結果、知由が望む報告ができなかったときのことを考えると、そう言うしかなかった。


「私だと、まともな会話ができないと思うから、行かない。心配しなくても、向こうから寄ってくるはずだから。中矢はその人たちから話を聞き出すだけでいい」
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