探偵少女
 知由が言っている意味を読み取れなかったが、そこまで言われてしまうと、断れない。


「話を聞くだけでいいのね? それが望む話じゃなくても、文句言わない?」
「言わない。収穫なしだったらわからないけど」


 友奈はため息をつく。


 スマホの電源をつけて時間を見れば、いい時間になっている。


「雪兎さん、ご馳走様でした」


 友奈は立ち上がり、横の椅子に置いていたカバンを持つ。


「じゃあ三崎。話を聞いてくるだけでいいのね?」


 念を押すように確認をすると、頷きが返ってくる。


 それを間違いなく見た友奈は、面倒だと思う心を押し殺し、店を後にした。







 晴真は妙だと思いながら、スマホを見つめる。


 ネットでかなり騒がれているのに、事務所から連絡がない。


 ネット民が騒いでいるから、週刊誌は目をつけなかったのだろうか。


 そんなことを思っていたら、スマホが鳴った。


『立花悠誠』


 マネージャーの名前が表示され、晴真は唾を飲む。


「もしもし……」
「おはようございます、朝原さん。今到着しました」


 あの騒ぎを知らないような声に、晴真は反応できない。


「朝原さん?」
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