探偵少女
case3
撮影が終わったころには、日が傾き始めていた。
晴真が帰り支度を終えるのを待っていると、蒼空が欠伸をひとつする。
「俳優って大変なんですね。僕、もっと楽しいものだと思ってました」
「町田さん、ずっと力仕事だったから、余計疲れたんじゃないですか?」
蒼空の隣に立つ立花が聞く。
「僕は頭を使って動くより、ああいう力仕事のほうが向いているので、それは全然苦じゃなかったです」
満足そうに言うところを見ると、それは本心のようだ。
「探偵の助手なのに?」
晴真は嫌味のように、小声で言う。
地獄耳なのか、蒼空はしっかりと聞き取って、晴真を睨む。
設定を忘れた発言と、まるで役立たずのような言い草が気に入らなかった。
「思考面で彼女のサポートをできる人なんて、そうそういないんです」
蒼空は言いながら、今朝の知由からのメッセージを思い出した。
「そういえば……」
話しかけようとしたときに晴真がドアを開け、蒼空は人が集まっていることに気付き、言葉を飲み込む。
「朝原さん、今ネットで話題の女性とは、本当にお付き合いされているんですか?」
僅かな隙間からカメラとボイスレコーダーが向けられる。
ドアを閉めることなんて、できなかった。
晴真が帰り支度を終えるのを待っていると、蒼空が欠伸をひとつする。
「俳優って大変なんですね。僕、もっと楽しいものだと思ってました」
「町田さん、ずっと力仕事だったから、余計疲れたんじゃないですか?」
蒼空の隣に立つ立花が聞く。
「僕は頭を使って動くより、ああいう力仕事のほうが向いているので、それは全然苦じゃなかったです」
満足そうに言うところを見ると、それは本心のようだ。
「探偵の助手なのに?」
晴真は嫌味のように、小声で言う。
地獄耳なのか、蒼空はしっかりと聞き取って、晴真を睨む。
設定を忘れた発言と、まるで役立たずのような言い草が気に入らなかった。
「思考面で彼女のサポートをできる人なんて、そうそういないんです」
蒼空は言いながら、今朝の知由からのメッセージを思い出した。
「そういえば……」
話しかけようとしたときに晴真がドアを開け、蒼空は人が集まっていることに気付き、言葉を飲み込む。
「朝原さん、今ネットで話題の女性とは、本当にお付き合いされているんですか?」
僅かな隙間からカメラとボイスレコーダーが向けられる。
ドアを閉めることなんて、できなかった。