探偵少女
 焚きつけるような言葉に、知由はため息をつく。


「滋もそんな感じのことを言ってきた。みんなして、私になにをしてほしいの」
「別に? 三崎がなにもしたくないなら、それでいいと思う。でも、やられっぱなしってのは、性にあわないんじゃない? それに今朝、自分でも言ってたでしょ。今反撃をするのは面白くないって。」


 それは自分の置かれた環境を知る前の、自信過剰な発言に過ぎなかった。


 だが、滋と友奈の二人から似たようなことを言われ、今のやり方にこだわっているのが、少しだけくだらないことだと思えた。


 気持ちを切り替えるように、息を吸って、吐き切る。


「ネットで調べたところ、和野夏恋はこの騒ぎには関わっていない。私の名前を出してすらいない」
「ウソ」


 友奈はてっきり夏恋の仕業だと思っていたから、驚きを隠せない。


「奴はSNS上での周りからの評価に酷く執着している。ある程度人気もあるような場で、他人を貶めるようなことを言っては、自分の首を絞めるだけ。ゆえに、そういったことはしない」


 少しずつ、知由の言葉遣いが昔に戻っていく。


「ネット上ではいい子のフリをしていても、学校の人とかに猫を被ってることを言われたら、終わりなんじゃない?」
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